自己破産後はローンを組めないって本当?
自己破産をすると、その後の生活に多かれ少なかれ何らかの影響があります。
その1つが「ローン」です。
現在借金に苦しんでいる人の中にも、やがてはマイホームやマイカーを欲しいと思っている人がいるはずです。
そして、家や車を買うときは、大抵の場合、住宅ローンやマイカーローンを利用します。
しかし自己破産をすると、そのローンが一定期間使えなくなってしまうのです。
ここでは、自己破産とローンにまつわる様々なことを解説していきます。
このコラムの目次
1.自己破産するとブラックリストに載る
「ブラックリストに載った」「ブラック入りしているからローンを組めない」
こういった言葉を聞いたことがある人も多いでしょう。
まずは、このブラックリストについて解説していきます。
(1) ブラックリストとは?
自己破産に限らず、任意整理や個人再生などの債務整理をすると、そのときの債権者が「信用情報機関」というところに「この債務者が債務整理しましたよ」という情報を登録します。
信用情報機関にはお金の貸し借りに関する様々な情報が登録されており、銀行・貸金業者・クレジットカード会社などのお金を融通する業者は、ローンやクレジットカード発行の申込みを受けると、信用情報機関の情報を参照します。
ここでもし「過去に債務整理をした」という情報が登録されていると、お金を貸す業者側は「債務整理の過去がある人=約定通り返済できなかった人=この人からは債権を回収できないかもしれない」と考えます。
その結果、ローン契約の締結やクレジットカードの発行を断られたりするのです。
信用情報機関に登録されている事故情報のことをブラックリストといいます。そして、「信用情報機関に債務整理の情報が登録されているせいでお金を借りられない」状態を、一般に「ブラックリストに載った」「ブラック入りした」などと表現します。
債務整理以外でも、借金の滞納などが原因でブラック入りする可能性があるので注意してください。
「自己破産をすると、家族もブラック入りするのでは…」こういった不安を抱えている人もいるかもしれません。
確かに自己破産をすると持ち家や車を失うことが多く、それが家族に影響を及ぼすこともあるため、ブラックリストについても同様ではないかと考えるのでしょう。
しかし、信用情報機関に登録されるのは、自己破産をした本人の情報のみです。家族は自己破産をしていないので、配偶者や子供がブラックリストに入ることはありません。
家族は従来通りクレジットカードを使えますし、収入などの条件を満たせばローンも組めます。
(2) 信用情報機関の種類
ローンやクレジットカードの審査に落ちても、それが信用情報機関に情報を登録されていることが原因なのかどうかは正確にはわかりません。
単に収入が不十分な場合でも、場合によっては審査に落ちることがあるからです。
ブラック入りしているかどうかを知るには、信用情報機関に「開示請求」「情報開示」「本人開示」というものを行わなければなりません。
信用情報機関は主に3種類あるので、心当たりがある機関へ請求をする必要があります。
請求方法は機関ごとに異なるので、それぞれの公式ホームページを参考にしてください。
以下に各機関の情報を簡単に掲載します。
①CIC(株式会社シー・アイ・シー)
最も多くの情報を持っているとされる信用情報機関です。消費者金融やクレジットカード会社などが多く加盟している傾向があります。
自己破産した情報は5年間保存され、その後抹消されると言われています。
公式サイト:https://www.cic.co.jp/
②JICC(株式会社日本信用情報機構)
地方銀行から消費者金融まで多種多様な業者が加盟しています。
自己破産した情報は、CICと同様に5年間保存されるそうです。
公式サイト:https://www.jicc.co.jp/
③KSC(全国銀行個人信用情報センター)
名称からわかる通り、主に銀行が加盟しています。
メガバンク、地銀、信用金庫、ろうきんからネット銀行まで加盟しているため、過去に銀行以外利用したことがない人は、こちらに本人開示を行うと自分の情報が見つかる可能性が高いです。
情報の保存期間は最も長く、自己破産した情報が抹消されるまで10年間かかることもあるようです。
公式サイト:https://www.zenginkyo.or.jp/pcic/
2.掲載期間終了後にローンを組めない理由
信用情報機関に載った自己破産の情報は、基本的に5年から10年経たなければ抹消されません。
「ローンを組みたいから情報を削除してください」と問い合わせても取り合ってもらえません。
このため、5~10年待つのが主な解決策ですが、場合によってはそれでもローンを組めないことがあります。
以下では、その理由と解決方法を紹介していきます。
(1) 社内ブラック
各金融機関は信用情報機関からの情報以外に、自社で集めたデータなども元にして審査を行います。
自己破産した当時にお金を借りていた業者から再度お金を借りようとすると、その業者の内部に借金を踏み倒した情報が保存されている可能性が高いため、たとえ自己破産から10年以上経っていたとしても借金を断られてしまうおそれがあります。
自己破産後にローンを組む場合は、以前使っていた業者は使わないようにした方が無難です。
また、以前使っていた業者にグループ企業などがある場合、業者がグループ企業と情報を共有する可能性は否定できないので、そちらにも情報が共有されて「社内ブラック化」している可能性があります。
過去に利用した業者からできるだけ縁の遠そうなところを選ぶことをおすすめします。
(2) クレジットヒストリーがない
クレジットヒストリー、通称「クレヒス」とは、大雑把に言えば「借金の履歴」のことです。
ローンやクレジットカードに関わらず、金融機関からお金を借りると、その情報が信用情報機関に登録されていきます。
債務整理の情報だけでなく、借金をした事実や、その返済や滞納などの情報が、随時蓄積されていくのです。
しかし、自己破産した後はお金を借りることができなくなるため、ここに追加される情報はなくなります。
そのまま5~10年経てば自己破産の情報は抹消されるのですが、「まっさら」な状態になってしまうのです。
金融機関は「まっさら」な情報を見ると、「この人は過去にブラック入りしていたのではないか?」「ブラック入りが明けた直後だから何の情報もないのではないか?」と怪しむかもしれません。また、返済能力がないのではないかと思うかもしません。
「まっさら」な状態が原因で大きなローンを組めないことがあるのです。
(3) 保証人がブラックリスト状態だった
ローンの審査は保証人にも及びます。
もし保証人が過去に債務整理をしてブラックリストに載っている場合、それが一因となって審査に落ちることもありえます。
債務整理は家族や周囲に秘密のまま行うことも可能です。
「保証人を頼んだ配偶者に、実は債務整理の過去があった」ということもなくはありません。
この場合は、別の人に保証人を頼むのが最もてっとり早い解決方法です。
3.自己破産をお悩みの方は一度弁護士へ相談を
自己破産をするとローンを組めなくなりますが、最大でも10年経てばローンを組めるようになります。
また、家族がブラックリストに登録されることもないので、その点はご安心ください。
なによりも解決しなければならないのは、現在の生活に影を落としている借金です。
借金を滞納している情報も信用情報機関に登録されるため、どちらにせよローンが組めなくなる可能性が高いです。
多額の借金を解決するなら自己破産が最適です。
弁護士に相談すれば、本当に自己破産すべきかどうか判断してくれますし、その後の手続も代行してくれます。
他の債務整理が有効な場合はそちらを薦めてくれることもあるので、素人判断による失敗も防げるでしょう。
借金の悩みは、ぜひ泉総合法律事務所の弁護士に相談してください。
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