債務整理

個人再生は家族や職場にバレる?

借金を返せなくなったときには、債務整理によって借金を整理することができます。
債務整理にはいくつか種類がありますが、その中でも、個人再生は、借金を大幅に減額して貰えるので、認可されればその後は随分と楽になるでしょう。 

また、個人再生は、裁判所の認可を得た上で、住宅ローンの残っている住宅を維持したまま(住宅ローンの支払いは続けながら)他の借金を整理できるので、マイホームを持っている人にとってはメリットの大きい制度です。

しかし、個人再生で借金を減額して貰えたとしても、債務整理をしたことは余り他の人には知られたくないところでしょう。
特に、家族や職場に知れたらどうしよう…と不安になっている方は多いと思います。

果たして、個人再生をすると、家族や職場にはバレてしまうのでしょうか?バレるのを防ぐために、何か良い方法はないでしょうか?

1.個人再生は家族に内緒でできるか

最初に「個人再生は家族に内緒でできるか?」という点についてです。

結論から言うと、同居家族に内緒で個人再生をするのは、絶対に無理とは言いませんが、相当難しいのが実際のところです。

というのも、個人再生を家族に内緒にしていても、次の2つのタイミングでバレる可能性があるからです。

(1) 裁判所への提出資料を収集するとき

個人再生は非常に複雑な手続で、収入や財産に関する書類を裁判所に提出を求められます。 

個人再生は借金を全額免除する制度ではなく、あくまで減免する制度ですので、個人再生認可決定後は、原則3年(例外5年)の間に、圧縮後の残債を返済しなければなりません。

よって、個人再生をする=圧縮後の残債の返済が可能だと裁判所に認めて貰うには、継続的な収入があることが前提となります。
また、個人再生をすることがやむなし(このままだと支払不能に陥る恐れがある)と判断してもらわなければなりません。

そのためには、継続的な収入があることと、支払不能の恐れがあることの証明が必要で、様々な資料を提出することになります。

個人再生では、本人だけでなく、世帯全体の家計収支が問題となるので、裁判所に対しては、本人だけでなく同居家族の収支の説明が必要となります。

仮に、配偶者に収入があれば、配偶者の収入証明として2ヶ月分の給与明細の提出を求められるケースが増えています(その他、源泉徴収票や確定申告書、課税(非課税)証明書などの提出が求められることもあります)。

その場合、個人再生の申立をしたい人は、妻や夫に給与明細を借りなければなりません。

給与明細以外にも、申立人名義の財産については報告をしなければならないので、普段、申立人名義の預金通帳や保険証書などを配偶者が管理している場合は、原本を出して貰い預かる必要があります。

また、家計収支の証明のために、光熱費などの引き落としが配偶者の口座であれば、その通帳も借りる必要があります。

一度にそれだけの資料を求められれば、さすがに「一体何のために必要なのか?」と思われ、事情の説明を求められることになるでしょう。
そのことをきっかけに、家族に個人再生がバレる可能性は高いです。

(2) 裁判所からの通知

個人再生は、裁判所を介した厳格な手続です。

裁判所からは、申立人本人宛に書類が送られてきますが、通常の生活の中で裁判所から連絡がくることはまずないので、裁判所からの通知が家に届いた時点で、家族にバレる可能性はあります。

 

以上のことから、個人再生することを最後まで家族に隠し通しておくことは現実的には難しいでしょう。後から結局バレた場合、「どうして今まで話してくれなかったのか」と、家族間の信頼関係により大きな亀裂が生じてしまう恐れもあります。

個人再生における申立人の返済能力が家計全体の状況から判断されることを踏まえると、むしろ、早い段階で自分から家族に事情を打ち明けた上で、必要な協力を求めていくべきかと考えられます。

2.個人再生は職場に内緒でできるか

個人再生をすることを、身内である家族には話することができたとしても、さすがに職場にバレるのは困る、という方は多いと思います。個人再生は職場には内緒にできるのでしょうか?

結論から言うと、基本的には、個人再生をしたことが職場に知られることはありません。

個人再生では、職場に裁判所から通知が行くことはありません。また、当然ですが、弁護士からも通知がいくことはないので、手続の関係者からバレてしまうことはないでしょう。

また、個人再生が認可されると、申立人の住所・氏名が官報に掲載されます。
官報は誰でも閲覧できますので、確率的にゼロという訳ではありませんが、実際のところ、官報を日常的に目にしている人はほとんどいませんので、官報情報から職場にバレるという可能性は低いでしょう。

このように、個人再生の情報が第三者からバレてしまうことはほとんどありませんが、稀に、職場にバレてしまうこともあります。それは次の2つのケースです。

(1) 会社から借金をしていた場合

会社から借金をしていた場合、会社は債権者となるので、個人再生の際には弁護士から会社に受任通知が送られますし、再生手続が始まれば裁判所からも通知が行きます。

かといって、個人再生では、債権者を選ぶことができない(全債権者を対象に行なわれる)ので、会社だけを外して再生手続を行なうことはできません。

もし、会社からも借金をしている場合で、会社に分からないように、他の借金だけ債務整理をしたい場合は、任意整理を選ぶことをお勧めします(ただし、個人再生のような大幅な借金の減額は難しいです)。 

(2) 給与差し押さえを受けた場合

借金を滞納すると、債権者に判決等の債務名義を取られた上で、給与差し押さえを受けることがあります。

給与差し押さえになると、裁判所や債権者から職場に連絡がいく(裁判所の債権差押命令が勤務先に届きます)ので、まずその時点で、借金トラブルを抱えていることが職場に確実にバレてしまうでしょう(債権差押命令には債権の内容も書いてありますから、差押債権者に対して借金がいくらあるかも知られてしまいます)。 

個人再生で知られるというよりは、個人再生に至るまでの借金滞納でバレてしまうということです。

さらに、給与差押手続が係属している状態で個人再生を申し立てた場合には、再生手続が開始した時点で、給与差押手続は中止されますが、この関係で、再生手続が開始した事実が、裁判所から勤務先に伝わってしまいます。

(3) バレてもそれだけで解雇になることはない

職場に個人再生がバレたくない!と思う人は多いと思いますが、最悪バレたとしても、それだけで解雇になることはありません。そのような解雇は法律に違反した無効なものです。

しかし、個人再生がバレたり、給与差押えになると、会社の中で気まずい思いをして、そのことがきっかけで自ら退職を選ぶ方もいらっしゃるようです(あるいは、任される仕事の内容や、昇給・昇進の査定などに事実上の影響が出ることも予想されます)

3.個人再生がバレないためにできること

個人再生は、場合によっては、家族にバレずに済むこともあります(ただし、前述のとおり、現実的にはかなりハードルが高いです)。
また、仮に、家族にバレたとしても、少なくとも職場には絶対にバレないようにするには、どうしたら良いのでしょうか?

借金問題で個人再生をお考えの場合、とにかく早く弁護士に相談をすることが鍵となります。その理由は次の3点です。

弁護士の受任通知で取立が早く止まる

弁護士に個人再生を依頼すると、弁護士から債権者に受任通知が送付されます。その時点で、債権者(貸金業者)から本人への督促(電話や書面での請求)はストップします。

これに伴い、債権者への返済も全てストップすることになりますので、従来返済に回っていたお金を弁護士費用に充てることで、費用面で早期に申立準備を整えることが可能になります。

また、債権者からの取立の電話等が止まることで、家族に借金問題を知られなくて済む可能性が上がります。

ただし、弁護士に依頼しても、それだけでは、債権者が訴訟や差押・強制執行等といった法的手続を取ることまでは止められません。

差押・強制執行手続に関しては、個人再生手続が開始した時点で、既に係属中の差押・強制執行手続は中止され(最終的に再生計画の認可決定が確定した時点で失効します)、かつ、新たに差押・強制執行の申立をすることも禁止されます。

なお、個人再生手続では、自己破産と異なり、個人再生手続が開始されても、訴訟手続は中断しませんので、債権者は、判決を取得するところまでは(その判決を使って差押・強制執行をかけることはできないけれども)手続を進めることが可能です。

債権者からの連絡が弁護士に行く

弁護士に債務整理を依頼すると、その後は、債権者からの連絡は、全て代理人である弁護士のところへ行きます。債権者が本人の自宅に連絡をすることもないので、借金のことを家族に怪しまれることはありません。

ただし、債権者が訴訟を提起した場合の訴状や、強制執行を申し立てた場合の差押命令などは、裁判所から直接本人のもとへ送られます。

書類の準備のアドバイスも貰えるので、無駄な手間がなくなる

弁護士に依頼をすれば、個人再生の書類準備についても助言やサポートを受けられるので、時間の無駄がなくなります。

書類準備に関する家族へのお願いも、必要最小限の回数・量で済みます。

4.内緒の手続きは弁護士にご相談下さい

個人再生は難しい手続で、家計収支に関する提出書類も多いので、家族にバレる可能性はあります。
しかし、弁護士に相談をすれば、家族に内緒にしたいという事情についても相談に乗ってもらえるでしょう。

職場については、職場自体が債権者という場合を別にすれば、給与差押えなどがなければ、個人再生がバレることは基本的にありません。

早めに弁護士に相談をすれば、差押えを回避する方法について提案を受けられるので、職場に借金トラブルがバレる心配もありません。

泉総合法律事務所浦和支店では個人再生の経験が豊富にございます。お客様のそれぞれの事情を汲み取った上で、最善の解決策を提案させて頂きます。

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